カテゴリー:
相続手続き|法定相続情報と戸籍謄本等の収集|横浜市青葉区|大田行政書士事務所
相続手続き 法定相続情報
神奈川県・東京都を中心として、相続のための戸籍謄本等の収集や亡くなられ方の銀行口座の解約や株券等における証券会社の名義書換等の遺産整理業務を横浜市青葉区にて行政書士事務所を開業している大田泰巳です。
2017年(平成29年)5月29日 各種相続手続に利用することができる法定相続情報証明制度が始まり前は、亡くなられた方(被相続人)の不動産の相続による名義変更の添付資料として、銀行口座を相続するための解約手続きには、被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、(改製)原戸籍謄本、法定相続人の戸籍謄本(抄本)一式を、金融機関の窓口や法務局に提出したり、郵送していました。同時に相続手続きをしようとすると、複数組の戸籍謄本等を準備しておく必要があり相続人が多かったりすると戸籍謄本等の交付手数料も結構な金額になったりしていました。
法定相続情報証明制度の運用が始まり、法務局に法定相続情報一覧図の交付申請をして、法務局より法定相続情報一覧図をもらうことにより、従来のような戸籍謄本等を一揃えする代わりに法定相続情報一覧図を一枚(ケースによっては複数枚)を金融機関に提出すれば済みようになりました。また、法定相続情報一覧図を複数枚交付請求すれば、同時に複数の金融機関での相続手続きができるようになります。法務局へ法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出する必要と交付されるまでおおよそ1~2週間程度はかかってしましますが、相続手続きにおいての利便性は増したと思います。
戸籍・除籍謄本や(改製)原戸籍謄本は常に正しいか?
滅多にはありませんが、手書きによる原戸籍謄本や除籍謄本では誤った記載がされていることがあります。婚姻により新しい戸籍を作った場合や、引越し等の理由から戸籍を管理管轄する市区町村が変るような転籍をした際に、戸籍事務の担当職員が誤った記載をしてしまうのが原因のようです。
私が、役所に戸籍の訂正を申し入れた事例を紹介します。A市に本籍がある甲山(旧姓:乙川)花子さん(仮名)が亡くなり、相続人の方からより、戸籍謄本等の収集と法定相続情報一覧図の作成依頼がありました。A市における甲山(旧姓:乙川)花子さんの除籍謄本と改製原戸籍謄本を見ると、甲山A朗さん(仮名)と婚姻され、夫の氏を称する新しい戸籍をA市において作り、婚姻前の本籍地はB市で、筆頭者は花子さんの父の乙川一さん(仮名)で、乙川一さん(仮名)の戸籍から入籍したことが分かりました。
私は、甲山(旧姓:乙川)花子さんの婚姻前の原戸籍謄等を取るため、婚姻前の本籍地と筆頭者を乙川一さん(仮名)を職務請求用紙に記載してB市に請求しました。数日後、B市の戸籍謄本等の証明書を交付する担当者から、花子さんの父:乙川一さん(仮名)の戸籍から籍を抜けたのではなく、その一つ前の戸籍(昭和22年の司法大臣の命により改製されたもの)で、筆頭者は花子さんの祖父:乙川一さん(仮名)の戸籍から籍を抜けているとの連絡があり、A市の戸籍については訂正をしてもらように言われました。ちなみに、法務局に戸籍謄本等の記載事項に誤りがあったまま、法定相続情報一覧図の交付の申出をした場合は、原則的には法定相続情報一覧図の交付しないそうです。
A市の戸籍係に、A市で取得した甲山(旧姓:乙川)花子さんの除籍謄本・改製原戸籍謄本とB市で取得した祖父:乙川一さん(仮名)を筆頭者とする原戸籍謄本と昭和22年の改正前の原戸籍謄本(花子さんの出生が確認できる戸籍謄本)を持参して、B市からA市の戸籍に誤記があることを伝えました。A市の担当者は、花子さんの従前戸籍の筆頭者が父の乙川一さんではなく、祖父の乙川一さんであることを確認し、訂正するためにA市からB市に公用で原戸籍謄本を取り寄せをして訂正をするとの説明がありました。訂正が完了するのには一か月程度かかり、A市の訂正が完了したら、私の事務所に訂正後の除籍謄本・改製原戸籍謄本をA市から送ってもらい、訂正前の除籍謄本・改製原戸籍謄本をA市の戸籍係に送り返すように言われました。
上記の画像は、甲山(旧姓:乙川)花子さんのA市の訂正後の改製原戸籍謄本の一部を加工したものです。
私自身も行政書士として長く、相続手続きのために戸籍の収集を行っていますが、役所の戸籍係に戸籍の記載事項が誤っているから訂正するように申し出たのは初めてのことでした。改めて今回の件を考えると、戸籍謄本等の誤記に気がつかずに法定相続情報一覧図の交付申出や相続手続きのために金融機関や不動産の相続登記申請に添付した場合には、相続手続きが長引いたりすると考えられるので注意する必要があります。