045-568-5746

[平日] 8:00-21:00 /[土曜] 10:00-18:00

[定休日] 日曜・祝日

お問い合わせ

新着情報 INFORMATION

カテゴリー:

コラム

家族信託(民亊信託)を考える(1)-家族信託の信託とは-

ここ数年、一般週刊誌において終活や老後・相続対策の特集記事中に家族信託(民事信託)が取り上げられることが多くなり、皆さんも一度は目にしたり、聞いたりしたことがあるのでないのでしょうか。このように家族信託(民事信託)が脚光を浴びるようになった背景として、平成18年(2006年)に信託法の大改正が行われ、従来は商事信託に関する要素が強かった信託法が、大改正により信託目的が家族・親族間におけるギフト(贈与)として財産移転できるように商事信託に関する規定と民事信託に関する規定を合わせ持つような形で改正が挙げられます。また、自分のためにも信託が組める自己信託も規定され、信託行為の幅も広がり、家族信託(民事信託)が遺言とは異なる財産の承継できる方法として実務での取り扱いが増えてきていることも要因となっています。

 

大改正の当初は、家族信託(民事信託)は節税効果があるとか(節税を目的として家族信託(民事信託)を組むことはリスクが大きく、将来的にトータルでの納税額が節税効果を生むか不透明のためお勧めしません。)、信託契約書に記載すればその範囲で自由に信託財産の運用や処分ができる、信託の変更事由も記載すればどんなことでも変更できて子供、孫へ何らの制約も受けずに財産の承継ができるのでないかと思われたことがありました。また、ここ数年は、金融機関の家族信託(民事信託)に対する理解も深まってきましたが、平成25年(2013年)頃は信託口口座開設のため銀行窓口に相談に行っても担当者が家族信託(民事信託)を知らず本部へ問い合わせて確認するようなこともありました。信託口口座については、現在もそうですが、倒産隔離機能が働くような正式な信託口口座が開設できる金融機関は限られ、日本全国どこの金融機関でも正式な倒産隔離機能が働く信託口口座が開けるような状況になっておらず、見た目上や管理上で信託口口座もしくは信託のための口座として口座を開設していることもあります。大改正から15年以上経ち、実務面での研究も進んでいますが、まだまだ多くの課題がある制度です。しかしながら、自分の思いで自分の財産を家族や親族に渡すことができる制度として、家族家族(民亊信託)は遺言とは異なる財産を承継させる制度であることには間違えありません。

 

信託と言えば、多くの方は信託会社や投資信託等の商事信託を思い出され、お金を信託会社等に預け、信託契約の範囲で運用してもらい運用益が出たら受け取る(給付)というイメージをお持ちでしょう。家族信託(民事信託)に置き換えてみると、委託者と呼ばれ人が持っている財産(信託財産)を、信頼できる人・財産を託してもよいと思う人(「受託者」と呼ばれる人)に財産(信託財産)を託します。信託財産中に不動産があれば名義を受託者名に変え、銀行口座であれば受託者名義の信託口口座を開設するようにします。受託者は、委託者と取り交わした信託契約書に基づき、管理・運用等を行いながら、受益者と呼ばれる人に信託財産を利用させたり、信託財産から金銭の給付を行い、信託契約に基づく信託の終了事由や法定終了事由が発生すると家族信託(民事信託)が終了して信託財産の清算が行われ、家族信託(民事信託)の大まかな流れととなります。

 

家族信託(民事信託)において重要なことは、委託者がなぜ大切な財産を託すのか、財産を託された受託者が委託者の思いが実現できる内容の信託契約が作られているのか、信託財産に関わる金融機関や証券会社等の事前調整が出来ているものかが挙げられます。さらに、家族信託(民事信託)では受託者の責任は重く、受託者を引き受けてくれる人とも十分に話し合いを行う必要があります。受託者は、家族信託(民事信託)の要となる人であり、信託契約の内容によっては長い期間に渡り信託財産を管理していくことになります。特に家族信託(民事信託)における受託者は、委託者の親族がなることが多いため、家族信託(民事信託)の組成、信託契約書の作成、関係金融機関等の事前調整において、行政書士や弁護士、司法書士、税務面での税理士の専門家によるアドバイスや支援を受けられることをお勧めします。

大田行政書士事務所では、家族信託(民事信託)に関するご相談等を承っておりますので、お気軽にお問合せください。

 

 

ページトップへ